笑劇場への招待

『本日はゴールドソーサー劇場へのお越し、ホンマありがとうございます。ボクはナレーターのケット・シーいいます。どうぞ最後までごゆっくりと上演をお楽しみ下さい。なお、本日の上演は急な台本変更により、多少舞台に乱れがあるかもしれまへん。あらかじめご了承下さい。
この上演は「未来を見つめる神羅」、「目の付けどころが神羅でしょ」、「Your choice of energy SHIN-RA」 、「あそぼー神羅」の神羅カンパニーの提供でお送りしてます。ほな開演です〜。』


キャスト： 勇者（クラウド）、姫（エアリス）、王様（バレット）、兵士（シド）、魔法使い（ユフィ）、東の賢者（レッドXIII）、西の賢者（ティファ）、 さすらいの海チョコボ乗り（ヴィンセント）、ナレーター（ケット・シー）、魔王（友情出演 Ｓ氏）
スタッフ： 劇団ハイウインド、ミッドガルプロダクション、劇団セトラ座、 コスモ企画、ジェノバプロ、ウータイ倶楽部、のみなさん


『Ｆ.Ｆ.７７７年、アパランチ王国に邪悪な影が忍び寄りつつあった。だがそのとき、 運命に導かれるようにして、伝説の勇者がこの国へ現れたんや‥‥』

　幕が上がり、勇者クラウド登場。それを追うようにして、トゥ立ちでスピンし ながら兵士シド登場。

シド 「おお〜、目が回ったぜ〜。お待ちください〜、そこ行くあなた〜。おお〜 あなたこそ伝説の勇者さま〜。なぜ分かるかって〜？台本に書いてあるからでい〜。」
クラウド 「この俺に〜何か用か〜？」
シド 「お願いします〜勇者さま〜。どうかどうか〜我々に〜‥‥次のセリフは何だったっけか？ええいっめんどくせー！紙切れどおりにしゃべれるかってんだ！とにかく勇者さまよう、城へ来てくんねーか〜。話は直接〜王様に聞いてくれ〜。」
バレット 「これ〜兵士シドや〜。俺〜、いや私はここにおるぞ〜。」
　下手より同じくスピンしながらバレット王登場。
シド 「王様〜、勇者に話してやってくれ〜。俺様はセリフ〜忘れちまった〜ぜ〜。」
バレット 「うむ〜、よかろ〜。勇者よ〜、私はアパランチ国王バレットじゃ〜。実は今大変なことが起きて〜おるの〜じゃ〜。私のかわい〜一人娘のエアリス姫が〜魔王にさらわれて〜しまった〜の〜じゃ〜。どうか姫を〜救い出して〜くれ〜。」
クラウド 「王様〜歌ヘタだな〜。音程〜ズレてるぜ〜。」
バレット 「う、うるせい！ほっとけ！大体なんで俺が、神羅がスポンサーの舞台なんかに出なけりゃならねーんだ！胸クソ悪い！俺ぁ、降りる！」
ユフィ 「王様〜！落ち着いてくださ〜いな〜！」
　頭上より魔法使いユフィ登場。バレット王にドロップキック。蹴り飛ばされてバレット王退場。
ユフィ 「おお〜あなたが伝説の〜勇者なのですね〜。私は魔法使いの〜ユフィです〜。 私は魔王の倒し方を〜知っています〜。なぜ知ってるかって〜、台本に書いてあるからに〜決まってる〜じゃん。」
クラウド 「まだ姫を助けるとは言ってないが〜、ストーリー上はそうなってるから〜とり あえず教えてくれ〜。」
ユフィ 「お教えしましょ〜。魔王を倒すには〜強い強〜い愛の力が必要なのです〜。二人の真実の愛が〜、魔王の魔力に対抗できる〜唯一の武器となるのです〜。 ああ〜、言ってて恥ずかしい〜。」
クラウド 「会ったこともない姫と〜、ど〜やって愛を育めと言うんだ〜。」
ユフィ 「そんなこと〜アタシゃ知らないよ〜。」
クラウド 「無責任なヤツだ〜。もういい〜。あとはなんとかする〜。じゃあな〜、魔法 使い〜。」
ユフィ 「ちょっとお待ちなさ〜い〜。話はまだ〜終わってないのですよ〜。魔王を倒すための〜必須アイテムがあるので〜す〜。」
クラウド 「必須アイテム？愛の力だけでよかったんじゃなのか？」
ユフィ 「台本が変更になったって言っただろー。ちゃんと読んでなよー。」
クラウド 「そうだったっけ？まあいいや。で、そのアイテムって〜何なんだ〜？」
ユフィ 「教える前に〜これにサインすること〜。」
　魔法使いユフィ、書類とペンを差し出す。
クラウド 「なんだ〜これは〜？『この舞台が終わったら、マテリアはぜ〜んぶユフィさんのものです。』‥‥」
ユフィ 「よ〜く読んで〜サインしてね〜。」
クラウド 「‥‥ファイア！」
　勇者クラウド、火の魔法で書類を灰にする。
クラウド 「ドサクサにまぎれて〜、せこいマネしてんじゃないぞユフィ〜。」
ユフィ 「チッ。作戦失敗〜。今度はうまくいくと思ったのに。さて〜話を続けましょ〜。 魔王を倒すためのアイテム〜、それは４つのクリスタル〜です〜。」
クラウド 「クリスタルとは〜懐かしい響きだな〜。」
ユフィ 「４つのクリスタルのありか〜、１つは北の洞窟に巣くうドラゴンが持つ風のクリスタル〜、２つめは東の賢者が持つ火のクリスタル〜、３つめは西の賢者 が持つ水のクリスタル〜。４つめは土のクリスタル〜、これは現在行方不明 です〜。とりあえず〜北の洞窟へ行って〜、ドラゴンを倒して風のクリスタル を〜取ってきなさ〜い〜。そこの兵士シドが〜案内します〜。」
シド 「ぐーぐーぐー。」
　兵士シド、槍にしがみつき、つっかえ棒にして居眠りをこいている。
クラウド 「兵士〜寝てるみたいだぞ〜。」
ユフィ 「ふざけろオヤジー！舞台で寝てんじゃなーい！」
シド 「ぐーぐー････おっ？わりいわりい。俺様は舞台なんてのは見ててもやってて も眠くなるんでい。で〜、なんの話だっけか〜。」
クラウド 「これから〜ドラゴン退治に行くところだ〜。」
シド 「あ〜、風のクリスタルか〜。めんどくせ〜から〜、ホレやるよ〜。これでドラゴン退治〜したことにしてくれ〜。俺様の役目は終わりだ〜。あばよ〜。」
　兵士シド、風のクリスタルを勇者クラウドに渡し、退場。
ユフィ 「オヤジ････あんたのいい加減さにはアタシゃあきれるよ。オホンっ、それでは勇者さま〜、あと３つ〜がんばって見つけてね〜。」
　魔法使いユフィ、くるくるとスピンしながら退場。風のクリスタルを手に して、やや呆然自失気味の勇者クラウドを残して幕降りる。

『こうして勇者は、４つのクリスタルの中の１つ、風のクリスタルを手に入れたんや。ホンマならドラゴンを倒さな手に入らんのやけど、兵士のアドリブでカットされてしもうたわ。ま、ストーリー上は支障ないからええとしましょか。ほんで第２幕や〜。』





　
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