笑劇・忘らるる都に消ゆ
「エ、エアリス‥‥わあああん！」
クラウドにしがみついて泣きじゃくるユフィ。
エアリスを追って、忘らるる都に来たクラウド、ユフィ、バレットの３人。
彼らの目の前でエアリスは、まるでドリフのコントで落ちてくるタライの ように、天からから降ってきたセクシー英雄セフィロスに串刺しにされて息絶えた。
「こうして突っ立ってても仕方ねえ。エアリスを葬ってやらねえとな。」
バレットに促され、クラウドはエアリスの遺体を抱きかかえて祭壇を降りた。
貝の家の目の前にある小さな湖で、エアリスを水葬に付す。
ゆっくりと湖底へ沈んでいくエアリスを見守る３人。
そのとき、彼らの背後から思いも寄らぬ声がした。
「私のお葬式、すんだ？」
一斉に振り返る３人。そこには当のエアリスが微笑みを浮かべて立っていた。
「エ、エエエエエエアリス！？」
「キャー！エアリスー！！おばけぇーっ！！」
「迷わず成仏してくれえ！！」
「もう、やだなあ〜。私、本物だよ。ほら、足もちゃんとあるしね。」
エアリスはいたずらっぽく笑い、チラッとスカートの裾をめくって見せた。
「なかなかいい足だ。いやそんなことはどうでもいい。俺達はたった今、
セフィロスに殺されたあんたの遺体を沈めたところなんだぞ。どうなって
るんだ、これは！？」
半ば取り乱したようにクラウドは言う。
「ふふふ。こんなこともあろうかと思って、私のダミー人形を起動させておいたの。古代種のカンてヤツね。セフィロスったら、まんまとかかってくれたみたいね。」
「じゃあ、今沈めたのはダミーだったのか‥‥」
「そゆこと〜。このとおり、私はピンピンしてるよ。」
「エアリス‥‥生きてたの。」
「生きてたのか‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥。」
「どしたの、みんな？浮かない顔して。」
怪訝そうな表情のエアリスを横目に、クラウド達は顔を寄せ合ってヒソヒソ
話を始めた。
「（ﾋｿﾋｿ）どーゆーことー！？攻略本じゃエアリスはここで死んじゃうことになってたのに〜！」
「（ﾋｿﾋｿ）まずいぜ。もうエアリスの武器類は必要ねえと思って、道具屋に売り飛ばしちまったぜ。」
「（ﾋｿﾋｿ）あたしなんか、エアリスに３０万ギルの保険金かけてたのよ〜！
ああ〜っ！夢のユフィちゃん別荘が〜！」
「（ﾋｿﾋｿ）まいったな。エアリスが死んだら自動的にティファしか残らなくなるから、どっちを選ぶかで悩む必要なくなると思ってたんだがな。」
３人はハア〜ッとため息をついた。そして、エアリスの方に振り向き、大袈裟な作り笑いを浮かべた。
「無事で良かったエアリス！」
「‥‥全部聞こえてるわよ！バレット！マリンちゃんを助けてあげた恩を 忘れたの！？ユフィ！さっきはわんわん泣いてたのに、あれは嘘泣きだったの！？クラウド！そんなこと考えてたなんて許せない！」
「お、落ち着けエアリス。誤解だっ。」
「誤解も六階もない！召喚！ナイツ・オブ・ラウンド！！」
エアリスの喚び出した円卓の騎士達は、一斉にクラウド達に向かって襲いかかったのだった‥‥。
しばらくして、ボーンビレッジにて待機中の残りのメンバーの元へ、エアリスが帰ってきた。
「あっ、エアリス！無事だったんだね！エアリスがセフィロスに襲われたって連絡があったから、心配してたんだよ。」
レッドXIIIの言葉に、エアリスは何事もなかったように微笑んだ。
「そう簡単に私がやられる訳ないじゃない。だって私、ヒロインだもの。」
「そ、そうだね。でもホント、無事で良かったよ。‥‥あれ？そういえば、クラウド達はどうしたの？」
「‥‥‥‥星に還ったわ‥‥」
そう言ってエアリスは、気だるそうに夜明けの空を見上げた‥‥。
−ＥＮＤ−